ハッジ、アブラハムとその神への献身に対する敬意の表明
まさに今、世界中の数十か国から150万人を超える人々がサウジアラビアのメッカを訪れ、イスラム教の巡礼であるハッジを実践しています。
驚くかもしれませんが、ハッジは預言者ムハンマドとはあまり関係がありません。むしろ、預言者イブラーヒーム、すなわちアブラハムの人生における出来事を祝福する行事です。
アラビア語で「巡礼」を意味するハッジは、5日間にわたってサウジアラビアのメッカとその周辺の聖地を訪れる宗教的巡礼であり、金銭面と体力面で問題のないムスリム全員が、一生のうち少なくとも1度は実践するように義務付けられています。
ハッジは、唯一神とその預言者ムハンマドへの信仰告白、礼拝、喜捨、そして聖なるラマダンの月の断食と並ぶイスラム教の五行(義務)の1つです。
1年に1度だけ、イスラム暦の第十二月に行われるのがハッジで、巡礼月以外のメッカ巡礼は、奨励されてはいますが、ハッジとはみなされず、ウムラ(小巡礼)と呼ばれます。
巡礼者はハッジの5日間、他の信者との結束を示し、神への敬意を表すための一連の儀式を行います。最後の3日間には、巡礼者と世界中のその他のムスリムがイード・アル=アドハー(犠牲祭)を祝福します。
イスラムにおける重要性という観点からも、あらゆる地位にある膨大な数の人々がこの比較的小さな場所に世界中から一度に押し寄せるという輸送面の課題からも、ハッジは非常に大規模な行事です。
ハッジが完了すると、巡礼者は自宅へ戻り、「ハッジを遂行したもの」という意味の「ハーッジー」という尊称を得ます。